FX取引において、一番のダメージは「ロスカット」です。
含み損は為替価格が戻れば自然に解消しますが、ロスカットは損失が確定するため、資金が消滅します。
そして、ロスカットが怖いのは、為替価格が大幅に下落すると口座内の有効証拠金では損失分を賄えず、「借金」の発生することです。
例えば、為替価格が100円の通貨を2万通貨所有していた時に、口座に残高が20万円ありました。
その後、為替価格が急落して12円下がると当然ロスカットが実施され、損失が24万円(12円×2万通貨)になります。口座には20万円しかないため、不足分の4万円が借金となり、返済を請求されます。
その借金の請求を「ロスカット追証」と言います。
過去、リーマンショックやスイスフランショックなどではロスカット追証が膨大な金額になり、返済不能による自己破産者が多発しました。
海外FX業者のゼロカットシステム
実は、海外のFX業者の場合、一般的にロスカット追証のシステムありません。
つまり、ロスカットが実施された時点で、損失額が有効証拠金額をオーバーした場合、オーバーした金額分を0円にしてもらえます。
このサービスを「ゼロカットシステム」と言います。
日本のFX業者では、ロスカット追証を請求しない業者はありません。
それは、法律違反になるからです。
ロスカット追証を請求しないということは、実質的な損失補填になります。
日本では金融商品取引法によって損失補填が禁止されており、違反した場合は罰則が科されます。
海外のFX業者がゼロカットシステムを採用している理由
ゼロカットシステムは利益を削るだけであり、業者にとって何のメリットもないように見えます。
実は、海外FX業者の場合、ゼロカットシステムにはデメリットをカバーするだけのメリットがあります。それは、海外FX業者が採用しているNDD方式にあります。
NDD方式というのは、利用者からの注文をそのまま市場に流す方式のことです。
NDD方式では取引するごとに、業者にスプレッドという利益が発生します。
スプレッドというのは、通貨を購入する時と売却する時に生じる差額のことであり、利用者には費用になりますが、業者にとっては利益になります。
そして、海外FX業者のスプレッドは日本の業者より広くなっています。
従って、より多くの利用者がより多くの取引をすることが、海外FX業者の利益の増大に繋がります。
つまり、利用者にロスカット追証を請求することで取引をやめられてしまうより、利用者の損失をカバーすることで取引を続けてもらった方が結果的に利益が大きくなります。それが、ゼロカットシステムを提供する背景にあります。
ゼロカットシステムによる利用者のメリット
ゼロカットシステムによって、利用者は以下のメリットを得られます。
- 急激な為替変動によるロスカット追証のリスクを回避できます。
- 最大限の損失が読めるため、損失額のコントロールが可能になります。
- ロスカットを恐れる必要がないことでポジションを長く保有することになり、含み損の挽回チャンスが大きくなります。